胎孕之始


    原文 (原本の文字数を反映・但し原本は縦書き)

       乾鑿度云天形出乎乾有太易太初太始太
      素夫太易者未見氣也太初者氣之始也太
  始者形之始也太素者質之始也形氣已具而痾
  痾者瘵瘵者病病由是萌生焉人生從乎太易病
  從乎太素〇参同契註曰形氣未具曰鴻濛具而
  未離曰混淪易曰易有大極是生兩儀易猶鴻濛
  也大極猶混淪也乾坤者太極之變也合之為太
  極分之為乾坤故合乾坤而言之謂之混淪分乾
  坤而言之謂之天地列子曰太初
  氣之始也太始形之始也亦類此
 
 
 断句 (原文に句読点を挿入・改行は任意)
 
  乾鑿度云、天形出乎乾、有太易太初太始太素。
  夫太易者、未見氣也。太初者、氣之始也。
  太始者、形之始也。太素者、質之始也。
  形氣已具而痾、痾者瘵、瘵者病、病由是萌生焉。
  人生從乎太易、病從乎太素。
 
  参同契註曰、形氣未具曰鴻濛、具而未離曰混淪、
  易曰、易有大極、是生兩儀、易猶鴻濛也。
  大極猶混淪也。乾坤者、太極之變也。
  合之為太極、分之為乾坤。故合乾坤而言之、謂之混淪。
  分乾坤而言之、謂之天地。
  
  列子曰、太初氣之始也。太始形之始也、亦類此。
 
 
 現代語訳

 胎孕之始(たいようのはじめ)

 『聖恵方』に説くには、
 「天地の精気が、万物の形態を生じる。
 父親の精気が魂であり、母親の精気が魄である。

 一月目には身籠った胎は酪のようであり、
 二月目には果実のように成長し李の実のようになり、
 三月目には姿形ができ、四月目には男女の区別がつき、
 五月目には筋骨が形成され、六月目には頭髪が生え、
 七月目には魂が動き右手を動かすことができ、
 八月目には魄が動き左手を動かすことができ、
 九月目には体が三度回転し、
 十月目に満ち足りると、母と子が分かれる。

 そのうち、月が長引いて生まれた者は、
 富貴にして長寿となり、
 月が足りない者は、貧賊にして夭折となる。」


 『上陽子』が言うには、
 「人が初めて気を受けて、九日にして陰と陽とが凡そ定まる。
 四十九日にして胎ができ始め、以降七日ごとに変化を生じる。
 
 306日満ちた者、296日満ちた者は「上器」である。
 286日を経た者、266日を経た者は「中器」である。
 256日を経た者、246日を経た者は「下器」である。

 そもそも、天干において「甲」が必ず「己」と合してはじめて生じ、
 地支において「丑」が必ず「子」と合してはじめて育つ。
 もし天地の徳が合さなければ、人は決して生まれないのである。

 ゆえに、九月にして神布き、気満ちて胎が完全になると言い、
 また、十月の懐胎は、天地の徳が気と合して後に生まれること、
 とも言うのである。」